微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

釈明のロジック

 

先日、テレビ東京の「仰天 珍ランキング」という番組に出演させて頂きました。そのとき私が出演させて頂いたコーナーは、謝罪会見をランキングする、というコーナーでした。

 

危機管理の専門家の方とマナー講師の方と私とで正しい謝罪・間違った謝罪というものをノミネートされた40程の有名な謝罪会見の中からランキングするというものでした。

 

ランキングの基準はそれぞれの専門家の専門領域の基準に則って点数化されました。そこで本日のブログでは私がどのように謝罪をランキングしていたか、その基準を書かせて頂きたいと思います。

 

釈明の心理学理論に則った基準ですので、これを知っておけば、自分が釈明しなくてはならなくなったとき、少なくとも火に油を注ぐことは避けたり、変な誤解を相手に与えずに済んだり、また他者の釈明を受けるとき、その人の本意が理解出来るようになるでしょう。

 

それではご説明します。釈明のロジック

私はこんなふうに採点させて頂いておりました。

 

釈明には、謝罪、弁解、正当化、否定の4種類があります。この4種類を分ける基準は3つです。それは次の通りです。

 

行為への関与:ある被害が発生したときに、被害に関連した行為をしたことを認めるか否か

行為の不当性:その行為が不当であったことを認めるか否か

結果の責任:自分に責任があることを認めるか否か

 

①を認めない場合、否定となります。①は認めるが②を認めない場合、正当化となります。①及び②は認めるが③を認めない場合、弁解となります。①②③全てを認める場合、謝罪となります。

 

釈明にはこのような理論的な要素があります。自分や他者が犯したミスがどのレベルに当てはまるかを考慮することで、正しい釈明をする・受け止め方ができる、と思います。

 

番組の収録でランキングにノミネートされた約40の釈明会見を正確に分析すると弁解、正当化、否定などの謝罪以外の釈明も多々あり、また断片的な映像しかなく、正確に4つのどれか判断できないものがあったため、より簡略化した次の基準で謝罪度を点数化することにしました。それは、

 

「自己の責任を認めているか」

「反省の意を表明しているか」

 

という2つの点です。この2点の有無を判断するために釈明者の言語及び非言語を観察し、それらが心から表明されていればいるほど謝罪として高評価を付けることにしました。

 

この2点の有無を言語的側面からは、その言葉の有無と言葉使いから判定し、非言語的側面からは、演技ではない反省の表情・姿勢の有無から判定させて頂きました(反省の表情・姿勢って?それについてはまた今度)。

 

判定に結構な時間がかかりましたが、とてもためになる仕事でした。

テレビ東京さん、どうもありがとうございました♪

 

 

清水建二

参考文献

謝罪の研究について詳しくお知りになりたい方は、次の書籍がおすすめです。釈明者とそれを受け取る人の心理や釈明の効用がコンパクトにまとめられています。適切な釈明を心得ておきたい方、もしくは適切に釈明を受け取りたい方、オススメです。

謝罪の研究―釈明の心理とはたらき (人文社会科学ライブラリー)

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