微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

ジェスチャーのある風景①―Noのジェスチャー

 

先日、ほぼ満席状態のスタバで席を探しているとき、一席だけ空いている様子に気づきました。そこに近づいてみると、丸いテーブルに2つのイスがあるのですが、1つの席に女性が座っており、隣のテーブル席の人と話しているのに気づきました。そんなシーンでの一コマです。

 

私:あの~この席空いていますか?

 

女性:#$%&‘()=~|.

 

私:Is this seat taken?

 

女性:…(無言で首を横に振るジェスチャー)。

 

そんな会話をした後、私はその席に着くことが出来ました。

 

日本語で話しかけたとき、明らかに「?」の表情をしていたので英語に切り替え話しかけました。顔はアジア系でしたが、耳にした言葉は英語のようでした(完全に日本語で答えが帰ってくると思い込んでいたので突然の英語の返答に意識が追いつかなかったのです)。

 

そこで、

 

Is this seat taken?

 

です。

 

この英語をどう解釈するかで、ジェスチャーの意味がクリアになります。この英語は直解すれば「この席は誰かに座られていますか?」ですので、女性のジェスチャーを問題なく解釈することが出来ます。

 

女性の首を横に振るジェスチャー、すなわちNo、いいえ、です。

 

少し解説しますと、英語では、肯定はYes、否定はNoです。例えば、美容院で頭を洗ってもらっているとき、「痒いところございませんか?」と聞かれます。痒いところがあればYesで、なければNoです。しかし、日本語はそのへんがあいまいで「はい、ありません。」でも「いいえ、ありません。」でも通じます。「ありません。」がなくても、「はい。」「いいえ。」だけでも、その後に続く要求がなければ、「痒いところなし」と解釈されますよね。

 

話を戻します。

 

しかし、この英語“Is this seat taken?”、いくつかの書籍で「この席空いていますか?」と訳されています。

 

そうすると、首を横に振るジェスチャーはNoという意味になり、席は空いていない、という意味に解釈してしまいかねません。

 

また例え、「この席は誰かに座られていますか?」と正しい解釈でこの英語を使っていても、首を横に振るジェスチャーを見ると、日本人としては、「ダメ」と言われているような錯覚に陥ります。

 

首を縦に振るジェスチャーと首を横に振るジェスチャーは、万国共通と言ってよいほど、ほぼ全世界で通じるジェスチャーです。しかし、今回のケースを通じて思ったことは、肯定と否定がハッキリしている英語と比べ、雰囲気重視の日本語の場合、そのジェスチャーが誤解して捉えられかねないな~などと思いました。

 

英語を勉強するときは、日本語との対訳だけでなく、言葉に込められているロジックやイメージまでもちゃんと理解することが大切だな、と実感したそんな日でした。

 

 

清水建二