微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

面接に役立つ言語・非言語観察法―違和感を見える化する編①

 

学生さんの面接をしていると、「あれ、何か変だな?受け答えに若干の違和感を感じる。」と思ったことが面接官なら誰しもがあるのではないでしょうか?

 

その違和感とは何か?

 

それは、話されている言葉と微表情や微動作含むボディーランゲージとが一致していないとき、の可能性があります。

 

微表情やちょっとしたボディーランゲージの変化は、明確に意識は出来なくても、「何となく」無意識に感じ取ることが出来得る、という研究結果が見出されています(例えば、一瞬の表情変化がドリンクの消費量に影響を与えることを示したWinkielmanら, 2005など)。

 

私が体験したあるケースでは、口では、「腹の立つことがあったんです。」と言いながら、微表情は、「恐怖」が表れている方が入ました。言語が「怒り」で、非言語が「恐怖」を示しているので、言葉とボディーランゲージが一致していない状況です。そんなとき、私たちは、「あれ?何か変だぞ。」と思うのです。

 

面接では、学生さんの人となりを観るために、学生さんに志望動機や自己アピール、その他様々な質問をします。そんなとき、ご存知の通り、次の3点を外さないと思われます。

 

①学生さんの意見

②その意見を裏付けるエピソード

③それを踏まえてどう考え、どんな行動をしたか

 

例えば、「仕事をする上で大切なことは何だと思いますか?」という質問で考えます。次のようなやりとりです。

 

学生さん:「仕事をする上で私が思う大切なことは、行動力だと思います。学園祭での出来事です。頭の良いK君と言う仲間がいました。彼は何でも口を挟みます。出店する出し物の是非、仕入先のこと、利益の出し方、とにかく何でも口を挟む、というか意見を言うのです。意見を言うこと自体は良いことなのですケド、問題は、全く動かないということなのです。意見だけは言うけど、行動はしない。実際に身体を動かしてみなければ、アイディアを具現化する大変さってわからないと思うのです。」

 

面接官:「アイディアを具現化するのには行動力が大切、なるほど、確かにそうですね。ところで、そのときK君についてどう思いましたか?またK君に何か働きかけをしましたか?」

 

学生さん:「行動しないK君を見ていて、腹が立ってきました。だから、K君に行動してもらえるように働きかけました。」

 

この「腹が立ってきた。」というセリフのときに「恐怖」の微表情が浮かびました。皆さんが面接官ならどんなふうに会話を続け、違和感を見える化しますか?

 

続きは次回です。

 

 

清水建二

参考文献

Winkielman P, Berridge KC, Wilbarger JL. Unconscious affective reactions to masked happy versus angry faces influence consumption behavior and judgments of value. Personality and Social Psychology Bulletin. 2005 Jan;31(1):121-35.