今回のテーマは、ウソつきの行動です。
ズバリ言いますが、ウソつきの行動というものはありません。
しかし、ウソつきの行動性向というものはいくつか発見されています。
それでは、本題に入りましょう。
100以上のウソ検知に関する研究より明らかになっていることは、ウソと一対の関係にある明確な非言語行動はない、ということです(Depaulo, Lindsay, Malone, Muhlenbruck, Charlton, & Cooper, 2003; Vrij, 2000)。つまりピノキオの鼻は現時点(2015年)において発見されていないのです。
しかし、人がウソをついているときに起こりやすいいくつかの行動があることが知られています。ウソつきはウソをついているとき、特定の行動をとるわけではありませんが、感情的には神経質になり、認知的には証言の信憑性及び説得力を高めるために複雑な思考力を必要とし、信頼される印象を与えるために自己の行動をコントロールすると考えられています(Depaulo, Stone, & Lassiter, 1985; Vrij, 2000; Zuckerman, DePaulo, & Rosenthal, 1981)。これらの観点から説明できるウソのサインは以下の6つです。
①高い声のピッチ
②声の緊張
③スピーチエラー
④言語的なためらい
⑤イラストレーション及び手と指の動きの低下
⑥微表情
「あ!今~が動いたから、ウソついてる!」
と言うことは科学的にはあり得ないのですね(※)。
「あ!今~が動いたから、動揺している!」
と考え、相手に対する注意度を上げていく、
これがウソを見抜くときの正しい戦略なのです。
これらのウソのサイン、どういうものか?詳しくは次回ご紹介したいと思います。
※最近の脳科学の知見によると、実はウソをつくと反応する脳の部位がある程度発見されています。そうすると、「あ!今、脳の~が反応したから、ウソついている!」と言うことが出来ます。ただ、対面している人の脳の中をそのまま見ることは出来ませんケドね。
清水建二
参考文献
DePaulo, B. M., Lindsay, J. J., Malone, B. E., Muhlenbruck, L., Charlton, K., & Cooper, H. (2003). Cues to deception. Psychological Bulletin, 129, 74-118.
Vrij, A. (2000). Detecting lies and deceit: The psychology of lying and the
implications for professional practice. Chichester: John Wiley.
DePaulo, B. M., Stone, J. I., & Lassiter, G. D. (1985). Deceiving and detecting deceit. In B. R. Schlenker (Ed.), The self and social life (pp.323-370). New York: McGraw-Hill.
Zuckerman, M., DePaulo, B. M., & Rosenthal, R. (1981). Verbal and nonverbal
communication of deception. In L. Berkowitz (Ed.), Advances in experimental social
psychology (Vol. 14, pp. 1-59). New York: Academic Press.