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微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

ウソ検知の科学③―なぜ非言語情報に頼るのか?

 

ウソを見抜こうとするとき、そもそもなぜ私たちは、表情、声、ボディーランゲージを始めとした非言語情報に頼ろうとするのでしょうか?

 

このことを考えておくことは、ウソを見抜こうとする際に、過度に非言語情報に頼り過ぎる、という危険を冒さなくなるだろうし、次回以降で言及するようにウソ検知にまつわる非言語情報の誤解を理解する上でも参考になります。

 

それでは、始めましょう。

なぜ私たちはウソの疑いを非言語情報から得ようとするのでしょうか?

 

その理由は大きく分けて3つあると考えられています。

 

第一に、言語情報よりも非言語情報の方が目につきやすい、ということです(DePaulo & Kirkendol, 1989; Vrij, 2000)。感情が湧き起こると「どうしても反応してしまう特定の身体の動き」というものはあるのですが(Ekman, 1985)、感情と言語との間にはこうした関連はありません。例えば、ウソをついていると疑われている人は自己の証言の正当性を主張するために、辻褄の合うように証言をしようと、少しの間沈黙し、考えることができます。しかしその間、緊張などに伴って反応してしまう身体の動きをコントロールしようとしても、その緊張は身体の様々なチャンネルから漏洩してしまうことがあります。したがってウソを見抜こうとする側は、ウソの疑いのある人の行動に目が向かいやすくなると考えられます。

 

第二に、ウソの疑いをかけられている人の発する言葉が少なすぎるため、言語情報に頼れない、ということがあります。このような状況下では、ウソを見抜こうとする側は対象者の非言語行動に頼りがちになります。

 

第三に、ウソを見抜こうとする側はどんな言語情報に注意を払うべきかわからない、という場合があります。言語情報もしくは非言語情報の一方だけよりも両方の情報源を考慮した方が、ウソ検知の精度を高めることができることがわかっています(Vrij, Edward, Roberts, & Bull, 2000; Vrij, Akehurst, Soukara, & Bull, 2004)。

 

ところで、私たちが注目してしまうウソを示していそうな非言語情報、いわゆるウソのサインとはどのようなものなのでしょうか?

次回以降でご紹介しようと思います。

 

 

清水建二

参考文献

DePaulo, B. M., & Kirkendol, S. E. (1989). The motivational impairment effect in the communication of deception. In J. C. Yuille (Ed.), Credibility assessment (pp. 51–70). Dordrecht, Netherlands: Kluwer Academic.

Vrij, A. (2000). Detecting lies and deceit: The psychology of lying and the

implications for professional practice. Chichester: John Wiley.

Ekman, P. (1985). Telling lies: Clues to deceit in the marketplace, marriage, and politics. New York: Norton.

Vrij, A., Edward, K., Roberts, K. P., & Bull, R. (2000). Detecting deceit via analysis of verbal and nonverbal behavior. Journal of Nonverbal Behavior, 24, 239-263.

Vrij, A., Akehurst, L., Soukara, S. & Bull, R. (2004). Detecting deceit via analysis o verbal and nonverbal behavior in children’s and adults. Human Communication Research, 30, 8-41.