微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

人は見た目が9割?―チームの有能さ編

 

これまで「人は見た目が9割?-○○編」において個人の顔の瞬間的な観察から何がわかるか、ということに関して様々な研究結果を紹介してきました。今回は集団に焦点を当てます。

 

人は集団をほんの少し観察しただけで、集団の有能さを予想出来るか?

 

という疑問が今回のテーマです。

 

結論としては、可能、ということが言えそうです。

 

先の疑問に解答を与えるために以下の3つの実験がなされ、それぞれが同様の結論を見出しました。

 

様々なパンクバンドのメンバーが演奏している動画クリップを少し観察しただけで、偶然を超える確率で、人々は各バンドの人気度を予想することができ、

様々なフリスビーチームのウォームアップ映像をほんの少し観察しただけで、偶然を超える確率で、人々は各チームの勝ち負けを予想することができ、

様々な企業の取締役のメンバーの写真をほんの少し観察しただけで、偶然を超える確率で、人々は彼らが経営する各企業の収益を予想することができました。

 

なぜほんの少し集団を観察しただけで集団の有能さが予想できたのでしょうか?

 

実験に参加した判定者らは、集団の一致団結度から集団の有能さを判断していることがわかりました。つまり判定者らは、集団が一致団結しているほど、その集団のパフォーマンスも優れたものになるに違いないと考え、事実その予想は見事に当たっていることが今回の実験で明らかになったのです。

 

しかし判定者らはどのように集団の一致団結度を判断したのでしょうか。

実はその辺りの詳細は謎なのです。

何せ判定者らは30秒ほどの動画クリップから集団の調和を判断しているので、論理的にその決断を下しているわけではなく、「何となく仲が良さそう」レベルの判断に基づいて判定を下していると考えられるからです。私たちはほんの少しの観察から集団の団結性の手掛かりをキャッチしているようなのです。

 

私たちの無意識の判断力、直感力というものは凄いですね。

しかしこの判定プロセスが明確にならないと納得できないのが研究者の性なのです。

まだまだこの謎は追いかけて行きましょう。

 

 

清水建二

参考文献

Paul E. Stillman, Thomas Gilovich, and Kentaro Fujita (2014). Predicting Group Outcomes from Brief Exposures. Social Cognition: Vol. 32, No. 1, pp. 71-82.