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微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

続・愛想笑いと本当の笑い

 

以前のブログで、愛想笑いと本当の笑顔の違いについてご紹介いたしました。今回はその続きです。

 

以前の内容を簡単に振り返ると、作られた笑顔と本当の笑顔には3つの特徴的な違いがありました。一つ目は、対称性です。本当の笑顔は左右対称ですが、作られた笑顔は左右非対称です。二つ目は、継続時間です。本当の笑顔が持続する時間は0.5秒から4秒の間ですが、作られた笑顔は、4秒以上続くことがあります。三つ目は、使われる筋肉です。本当の笑顔は、口角が上がり、目のまわりの筋肉(眼輪筋)が収縮しますが、作られた笑顔は、口角は上がりますが、目のまわりの筋肉は収縮しません。この本当の笑顔を、眼輪筋の動きを発見した研究者の名にちなんで、ドゥシェンヌ・スマイルと言いました。

 

前回ご紹介したのはココまでです。

さて、今回はレベルを上げ、より細かい情報をご紹介しようと思います。

 

四つ目の指標、それは、笑顔が始まる瞬間と終る瞬間です。本当の笑顔と比べて、作られた笑顔は、突然現れ、突然消えます(Ekman & Friesen, 1982)。芸能人の方やアイドルの方の笑顔が参考になります。六つ目の指標と関係しますが、アイドルの皆さんは見事なドゥシェンヌ・スマイルをしますが、この笑顔が突然消える場面を、多々拝見いたします。本当の笑顔は、顔からゆっくりと消えていきます。

 

五つ目は、笑顔のスムーズさです。本当の笑顔と比べ、作られた笑顔は、笑顔が作られるまでに時間がかかり、ぎこちなさが伴います。作られた笑顔の場合、笑顔が現れる過程で、途中で停止し、笑顔の強度の調整が行われます(Hess & Kleck, 1990; Weiss, Blum, & Gleberman, 1987)。本物の笑顔というのはどう見えるのだろうか?と調整しようとするところにぎこちなさが現れるのです。

 

さらに注目したいのは、六つ目の指標です。

それは、ドゥシェンヌ・スマイルの強度の違いです。眼輪筋の動きは、一般的には、意図的には動かせないとされていますが、動かせる人がいるのです。さらに条件さへ揃えば、多くの人がドゥシェンヌ・スマイルを意図的に作れることが実験より明らかになっております。

 

長くなってきましたので、この続きはまた次回にしたいと思います。

ドゥシェンヌ・スマイルの違いとは?どんな条件ならば、ドゥシェンヌ・スマイルは意図的に作れるのか?

次回をどうぞお楽しみに。

 

 

清水建二

参考文献

Duchenne, B. (1990). The mechanism of human facial expression or an electro-physiological analysis of the emotions (A. Cuthbertson, Trans.) New York: Cambridge University Press. (オリジナルは1862年に出版)

Ekman, P. (1980). Asymmetry in facial expression. Science, 209, 833-834.

Ekman, P., & Friesen, W.V. (1982). Felt, false, and miserable smiles. Journal of Nonverbal Behavior, 6(4), 238-252.

Ekman, P., Hager, J.C., & Friesen, W.V. (1981). The symmetry of emotional and deliberate facial actions. Psychophysiology, 18(2), 101-106.

Hess, U., & Kleck, R. E. (1990). Differentiating emotion elicited and deliberate emotional facial expressions. European Journal of Social Psychology, 20, 369–385.

Weiss, F., Blum, G. S., & Gleberman, L. (1987). Anatomically based measurement of facial expression in simulated versus hypnotically induced affect. Motivation and Emotion, 11, 67–81.