微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

赤ちゃんの共感力

 

赤ちゃんが見ている目の前で、タンスの角に小指をぶつけたとします。

このとき、みなさんは「痛い」顔をしますか?

 

おそらく、みなさんと同じく私も、痛くても、我慢してニコニコ顔を赤ちゃんに向けると思います。

 

さて、このようなチグハグな状況―痛い状況と笑顔―を目にしたとき、赤ちゃんは何を思うのでしょうか。状況と表情が一致しない事態を目の前にした赤ちゃんの反応を分析した研究があります。

 

以下のような状況を赤ちゃんに見せます。

 

・赤ちゃんの目の前にいる人が、魅力的なおもちゃを手渡され、すぐに取り上げられてしまいます。その後、その人は「笑顔」もしくは「悲しみ」の表情をします。

 

・赤ちゃんの目の前にいる人が、スプーンで何かを食べている途中で、スプーンを取り上げられてしまいます。その後その人は「笑顔」もしくは「悲しみ」の表情をします。

 

・赤ちゃんの目の前にいる人が、トンカチで自分の指を叩いてしまいます。その後その人は「笑顔」もしくは「悲しみ」の表情をします。

 

以上のような状況を赤ちゃんに見せ、赤ちゃんの反応を見ます。上記の状況は全部ネガティブで「悲しい」状況です。それゆえ「悲しい」表情が状況とマッチした表情ということになります。状況とチグハグな表情とマッチした表情とで赤ちゃんの反応は異なるのでしょうか。

 

実験の結果、

 

・生後15ヶ月の赤ちゃんは、状況と表情との関連に関わらず、目の前にいる相手の「悲しい」顔に共感し、その表情を見せました。

 

・生後18ヶ月の赤ちゃんは、状況と表情が一致した時のみ相手に共感し、「悲しみ」表情を見せました。

 

生後15ヶ月の赤ちゃんは状況と表情のミスマッチに対し、異変を感じないのですが、生後18ヶ月になると状況と表情のミスマッチに反応し、困惑するのです。

 

おもいやりの心は、生後18ヶ月で生まれるのでしょうかね。

(下記の動画では、赤ちゃんが「悲しみ」表情に反応するのは進化生物学的な適応行動ゆえである、というアッサリとした説明をしていますが。)

 

赤ちゃんの顔はクルクル変わるので見ていて飽きません。電車の中とかで人様のお子さんの表情をジィーーーッと見ていると不審者と間違われそうなので、自重していますが…。BabyFACSで我慢しますかね…。

 

最後に実験の動画をどうぞ。

可愛い赤ちゃんです。

 

 

 

清水建二

参考文献

Chiarella, S. S., & Poulin-Dubois, D. (2013). Cry Babies and Pollyannas: Infants Can Detect Unjustified Emotional Reactions. Infancy, 18:E81–E96.