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微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

非言語シグナルはどこから伝える?どこから伝わる?

 

私たちの感情は身体の様々なチャンネルを通じて表現されます。顔、身体、声、しぐさ、姿勢、接触…などなど一つの非言語チャンネルを通して伝えられることもあれば、複数のチャンネルを同時に使い伝えられることもあります。

 

ところで、特定の感情を伝えるのが得意な非言語チャンネルというものは存在するのでしょうか?言い換えるならば、感情を効果的に伝えるためには、感情毎に非言語チャンネルの使い方を変えた方がベターなのでしょうか?

 

実は各非言語チャンネルには各感情を伝えるための得意分野があるようなのです。そしてその得意分野に応じて非言語チャンネルを使うことによって、各感情を効果的に他者に伝えられることがわかっています。

 

非言語を用いて感情を伝える実験に参加した参加者たちは、

 

羞恥心、罪悪感、誇り、恥感情を伝えるには、身体(顔を除く)チャンネルを、

怒り、嫌悪、恐怖、幸福、悲しみを伝えるには、顔チャンネルを、

愛、共感を伝えるには、接触チャンネルを、好んで用いる傾向があることがわかりました。

 

また各感情を伝えるのに好まれて用いられた非言語チャンネルは実際にそれを観察している人々に効果的に各感情を伝えられることもわかりました。羞恥心を他者に伝えたいのならば、身体を使った方が顔や接触を使うよりも伝わりやすいということです。

 

これはどういうことでしょうか?

 

身体チャンネルが効果的に伝える感情群は、社会的なステイタスを表す感情です。これらの感情群は、社会的なステイタスの違いを明確にするために、感情を伝える相手にわかりやすく伝える必要があり、非言語チャンネルの中でも大きな動作を伴う身体チャンネルが使われるのだと考えられています。また伝える対象が一人だけとは限らないため、多くの人々に一度にその差異を伝えられるという効果もあります。

 

顔チャンネルが効果的に伝える感情群は、生存に必要な感情です。これらの感情群は、生きるか死ぬかにとって重要な感情を伝えるため、伝達スピードが重要です。そのためほんの少し表情筋を動かすだけで、すぐに重要な感情を伝えることの出来る顔チャンネルが使われるのだと考えられています。また感情を伝えるのに動きが少なくて済むため、生存のためにエネルギーを回すことが出来るという効果もあります。

 

接触チャンネルが効果的に伝える感情群は、親密さを表す感情です。これらの感情群は、将来の協力関係やストレスに関連しています。接触するという行為によってストレスが低減したり、親密度が高まるということが知られています。

 

感情を効果的に伝えるにも科学があるのですね。

 

 

清水建二

参考文献

Nonverbal channel use in communication of emotion: How may depend on why.

App, Betsy; McIntosh, Daniel N.; Reed, Catherine L.; Hertenstein, Matthew J.

Emotion, Vol 11(3), Jun 2011, 603-617.