読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

ピンチはチャンスークレームこそが評価のチャンス

 

接客業を営んでいると少なからずお客さんからクレームを頂くことがあると思います。良識のあるものから無茶なものまで、クレームだとわかりにくいものから明らかに憤慨されながらなされるクレームまで様々だと思います。

 

様々な接客研修でよく聞く話だと思われますが、クレームが来たときこそがチャンス、これは本当です。

 

科学的な説明としては、ポジティブな感情状態にいる人は、ある情報や状況に接したとき、その情報や状況を精査することなく、全体的な見方を通じて、処理する傾向にあり、一方で、ネガティブな感情状態にいる人は、直面している情報や状況を、精査し、推論し、分析的な見方を通じて、処理する傾向にあることが知られています(例えば、Blessら、1990)。

 

つまり、ポジティブ感情で過ごせる「親切な環境」において私たちは頭を働かせる必要はないのですが、ネガティブ感情が誘発されるような「危機的な環境」においては私たちは「必死のぱっち」では頭を働かせて、その状況を何とかしなくてはいけないと考えるわけです。

 

これをクレームが行われている場で考えるならば、クレームが行われている場=「危機的な環境」=密度の濃い情報処理中のお客さんの頭、と考えられるわけです。(そんなときは、店員さんの頭の中も同様、頭フル回転なわけですが。)

 

言い換えるならば、クレームを言っているお客さんの頭の中は、フル回転し、物事=店のクレーム対応の仕方を精査し、批判的、分析的に観ているのです。

 

これはチャンスだと思いませんか?

 

クレーム対応の仕方次第で、店の評価が大きく変わるかも知れないのです。

 

実際に様々な研究において(例えば、Smithら、2002)、クレーム発生からお客さんの感情やクレームそのものを回復させる段階において、お客さんのその店に対する評価が分析的に再評価され、満足度の向上につながり得ることがわかっています。

 

それは畢竟、クレーム対応のいかんによって、そのお客さんが、優良顧客にも変わり得るし、二度と来ないお客さんになってしまうかも知れないのです。

 

どんなクレーム処理がクレームにくるお客さんを優良顧客に変えるか?

さりげなくクレームを伝えるお客さんの気持ちをどのように汲み取れば良いのか?

クレーム対応をする店員さんの採用、任用、心のケアをどうすれば良いのか?

 

全て科学的な答えが用意されています。

 

それはまた機会があるときにでもお話したいと思います。

 

 

清水建二

参考文献

Bless, Herbert, Gerd Bohner, Norbert Schwarz, and Fritz Strack. 1990. “Mood and Persuasion: A Cognitive Response Analysis.” Personality and Social Psychology Bulletin 16 (2): 331-345.

Smith, Amy K. and Ruth N. Bolton, (2002) “The Effect of Consumers Emotional Responses to Service Failures on Their Recovery Effort Evaluations and Satisfaction Judgments.” Journal of the Academy of Marketing Science, Vol.30 (1), pp.5–23