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微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

交渉の主導権を握るのは、売り手か買い手か?

 

ボディーランゲージを読みとくスキルの高低がビジネスを行う上でどう有利に働くのかについて様々な研究がなされています。その中に、表情識別力と交渉力との関係について検証した興味深い研究があります。

 

この研究によると、表情を識別する能力と交渉の売り手側のスキルとには正の相関が見られる、ということです。

 

この研究は、シンガポール国立大学の学生を実験参加者にして行われました。実験参加者は売り手もしくは買い手役にランダムに割り振られ、一人の売り手と一人の買い手が二人一組で交渉ゲームをします。交渉ゲームの利得構造は、お互いがwinwinの関係になり得るように設計されているものの、個々の交渉スキルの程度により、交渉後のそれぞれが獲得する利得は変化するように設計されています。また、実験参加者に交渉ゲームに取り組むモチベーションを上げてもらうために、交渉後にそれぞれが獲得した利得と実験参加者の謝礼額が連動するように設計されました。そして最後に交渉ゲーム終了後の売り手及び買い手の利得獲得額が記録されました。

 

交渉ゲームの実験が終わり、この実験参加者の表情識別能力がそれぞれ計測されました。シンガポール人及び中国人の表情写真42種類―3人の男性表情写真×7表情+3人の女性表情写真×7表情―を実験参加者はどれだけ正確に把握できるかが計測されました。

 

交渉ゲームの利得獲得額と表情識別力を比べると、売り手側であった実験参加者の獲得額と表情識別力に正の相関が見られたのです。買い手側の獲得額と表情識別力には相関が見られなかったのです。

 

なぜ売り手側だけにこの関係が見られたのでしょうか?

交渉をするプロセスにおいて表情識別力はどう機能していたのでしょうか?

 

次回、この疑問について考えてみましょう。

 

 

清水建二

参考文献

 

Elfenbein, H. A., Foo, M. D., White, J. B., Tan, H. H, & Aik, V. C. (2007). Reading your counterpart: The benefit of emotion recognition accuracy for effectiveness in negotiation    Journal of Nonverbal Behavior, 31, 205-223.