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微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

埋め込まれる集団意識

戦争、紛争、暴動、組織的テロ・犯罪行為…etc.

 

このような集団的暴力行為が起こる背景には、ある感情のコンビネーションが関係していると考えられています。

 

そのコンビネーションとは、「怒り」「軽蔑」「嫌悪」です。

 

集団の中にこれらの感情が段階的に醸成されると、集団的暴力が発生しやすい状態となるのです。

 

戦争やテロの首謀者らのスピーチを分析した調査によって、以下のことがわかりました。

 

暴力的行為が実施される段階が近づくにつれて、敵集団に対する「怒り」「軽蔑」「嫌悪」の言説がスピーチに多く含まれるようになった。

 

政治的主張を暴力に訴える集団は、それを非暴力で訴える集団に比べ、敵集団に対する「怒り」「軽蔑」「嫌悪」表情がスピーチをしているときに多く含まれていた。

 

自分たちの幸せな生活や正義が敵集団の存在・行動に妨げられることにより「怒り」感情が生まれ、その敵集団の行為を道徳的に卑下することで「怒り」感情が「軽蔑」感情に上書きされ、これに「嫌悪」感情が加わることによって最終的には敵集団を完全に根絶させる必要がある、という思考の流れが、首謀者のスピーチを媒介に集団の心の中に形成されると考えられています。

 

現段階において、この感情のコンビネーションと集団的暴力行為との関係はサンプル数が少なく、明確と言えるほどではありません。また「怒り」「軽蔑」「嫌悪」感情が混合して存在している状態が、どんなきっかけで集団的暴力行為へと発展するのかも明確ではありません。

 

しかし、この研究が発展すれば、戦争やテロ行為が発生する可能性をその首謀者のスピーチから事前に見積もり、そうした暴力を未然に防ぐことができるかも知れないのです。

 

 

清水建二

参考文献

Matsumoto, D., Hwang, H. C., and Frank, M. G. (2012).  Emotional language and political aggression.  Journal of Language and Social Psychology.

Matsumoto, D., Hwang, H.S., and Frank, M.G. (2012). Emotions expressed in speeches by leader of ideologically motivated groups predict aggression. Behavioral Sciences of Terrorism and Political Aggression.

Matsumoto, D., Hwang, H. C., and Frank, M. G. (2014). Intergroup emotions and political aggression: The ANCODI hypothesis. Paper prepared for The 17th Sydney Symposium of Social Psychology, Volume 17 March 17-20, 2014