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微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

魅かれる「におい」-埋め込まれた異性探索機能

 

 今回は表情から少し離れ、嗅覚について書きたいと思います。私たちはなんと鼻からも「空気を読んでいる」ようなのです。

 

 誰しも好きな、もしくは嫌いな「におい」というものがあると思います。それは対人関係にも当てはまると思われます。異性と接していて、この人なんか良いな、って思うとき、それはこの目に見えない「空気」に影響を受けているのかも知れません。

 

様々な研究によれば、「におい」は学習される割合が多いと言われています。つまり、乳児期(母体の中にいる間も含む)、幼少期の様々な経験を通して、好きな・嫌いな「におい」が学習されるようです。しかし「自分にとって」魅力的な異性を選ぶときには、本能としての嗅覚が大きな影響を及ぼしていることを示唆する研究があります。

 

 何人かの男性に2晩同じTシャツを身に着けて寝てもらいます。次にそれぞれのTシャツを一つ一つの箱の中に収めます。そして女性の実験参加者にそれぞれの箱の中のにおいを嗅いでもらい、どの箱のにおいが最もセクシーに感じるか回答してもらいます。

 

 その結果、女性たちが選んだ箱のにおいの持ち主の男性は、彼女たちとは最も異なる免疫系の持ち主であったことがわかりました。

 

 これはどういうことかと申しますと、免疫系の遺伝子は、「ある病気に対して免疫がある」もしくは「ある病気に対しては免疫がない」という情報を持っているため、似た免疫系の遺伝子を持った相手と子どもをもうけるとその子どもは特定の病気に免疫がない劣性的な遺伝子(母親と父親の劣性的な遺伝子)を受け継ぐ可能性が倍増してしまいます。つまり、異なる免疫系の遺伝子を持った相手と結びつくことで、お互いの劣性的な遺伝子を補い合い、特定の病気に弱くない遺伝子を持つ子どもをもうけることが出来るようになるのです。

 

 つまり、女性たちは自然に自分の免疫系とは異なる男性、生物学的にはぴったりの男性をにおいから選び出せたことになります。

 

自然の力といいますか、本能の力には本当に驚かされますね。

 

 しかしこの研究には続きがあります。上記の結果はピルを常用していない女性たちの選択です。ピルを飲んでいた女性たちがした選択は、なんと!先とは正反対の結果を生み出しました。つまり、女性たちが選んだ男性たちの遺伝子型はその女性らと一致していたのです。

 

人工の力といいますか、人為の力には本当に驚かされますね。

 

おまけ:個々人が持つ免疫系の遺伝子のにおいを増進させるような香水とか薬とかが開発されたら、より生物学的には適切なマッチングが生まれやすくなりそうですね。

 

 

清水建二

参考文献

Wedekind, C., Seebeck, T., Bettens, F., & Paepke, A.J. (1995). MHC-dependent mate preferences in humans. Proceedings of the Royal Society of London Series B, 260, 245-249.