微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

微表情を正しく認識する方法

 

「微表情を見抜く精度を高めるにはどうしたらよいですか?」

 

私の微表情セミナーに参加して下さった弁護士の方からこんな質問を頂きました。そして続けて、もし微表情を見誤ったら凄く危険なのではないか、というご意見も頂きました。大変有意義なご質問・ご意見を頂けたと思いますのでここで皆さまと共有させて頂きたいと思います。

 

 

微表情を読み解く際に障壁となりえる要因はいくつもありますが、大きな要因としては、3つあります。それぞれの解決策とともにご紹介させて頂きます。

 

①表情の「複雑さ」

顔の様々な筋肉を組み合わせることによって私たちは1万種以上の表情を作ることが出来ると言われています。その中にはわかりやすい表情もあれば、微妙な表情もあります。また、感情と結びつく表情とそうでない表情もあります。

 

解決策:感情を表現する表情を学ぶ。

 万国共通な基本7表情である「幸福」「軽蔑」「嫌悪」「怒り」「悲しみ」「恐怖」「驚き」を表す筋肉の動きを学ぶということです。学ぶ方法は色々ありますが、一番お手軽なのが本から学ぶ方法です(※)。ポール・エクマン著 菅靖彦訳(2006)『顔は口ほどに嘘をつく』河出書房新社は、多数の写真を使用し、感情と表情とのつながり、基本7表情の解説、ある表情を見た時の対処法などの紹介があり、おすすめの一冊です。

 

②表情の「変化速度」

感情が抑制されていると、それが一瞬だけ表情の「かけら」として顔に表れます。それが微表情です。微表情は、瞬きをするくらいの速度なので、それをとらえるのは容易ではありません。

 

解決策:微表情読解のトレーニングを受ける。

 本物(インタビューや会話)、もしくは訓練用にシュミレートされた微表情をたくさん観察することです。最近、弊社から「微表情検知テストトレーニングDVD」が発売されました。おそらく日本(世界?)で唯一の日本人微表情のリアル及びシュミレートトレーニング動画です。

 

詳細はこちらから↓↓

http://www.microexpressions.jp/training_dvd.html

 

③個々人の特性

 人の顔は左右非対称なので、ある表情が顔に出たときの見え方は人によって異なります。例えば、笑顔が「軽蔑」に見えるときがあります。ニコニコ顔の本人にとっては本当の「幸福」を表していたとしても、片方の口角が高く上がってしまい「軽蔑」の表情に見えてしまいます。

また、ある感情を感じていなくても特定の表情筋を動かす癖を持つ人がいます。例えば、通常、鼻にしわを作る動きは「嫌悪」を表しますが、鼻をすする動作で、鼻にしわを作る人がいます。他にも、話しながら眉を上下させる動きなどは日常的によく観察されます。これは自身が発する単語を強調するための「会話のシグナル」であり、「驚き」とは違います。

 

解決策:基準となる状態を知る。

 個々人の顔の基準となる普通の状態ー骨格、しわ、筋肉のつき方、表情の癖ーをよく観察しておくことで、誤解を最小限に抑えることが出来ます。基準となる状態と顔の動きを比較することで、それが本当に特定の感情を示す微表情なのかどうかが判断出来ます。

 

 

微表情を見抜く精度を高めるにはどうしたらよいか?ー表情・微表情に関する正確な知識と経験はもちろんですが、他人の顔に日々「意識的になる」ということだけでも、見えてなかったものが見えてくる、という実感が出てくると思います。

 

 

清水建二

 

※人の表情の複雑さについて専門的に学ばれたい方はFACSマニュアル&Investigator guideの購入及びそれをもとにした学習をおすすめします。FACSを学ぶことによって、人の表情筋の仕組みに対して深い理解と洞察を得ることが出来き、表情を詳細に分析することが出来るようになります。例えば、「幸福」表情には18種類あることが知られています。FACSの記述コードを理解することで、それら表情の微妙な差異を見分け、分析できるようになります。

 

参考

FACS販売元

A Human Face

http://face-and-emotion.com/dataface/facs/description.jsp