突然ですが、私はTOEICが好きです。TOEICとは英語の試験のことです。あのゲーム的なところが好きなんです。年に1~2回はTOEICを受けに試験会場まで足を運びます。
私の使っているちょっとした裏?荒?ワザをご紹介します。リスニング・セクションで聞き取れない問題があった時、どうするか?耳を澄ますのです。そりゃ、そうだ。リスニングの試験中なのだから、当たり前だろ、って怒られてしまいそうですが、英語ではなくて、その抑揚や音程の方に注意の矛先を切り替えるのです。
そうです、抑揚や音程から話者の感情を推測し、答えを導き出そうという魂胆なのです。
その効果は、いかに!
…。
I’m not sure :-(
TOEICは解答が返却されないので、どの問題が正解でどの問題が不正解だったかわからないのです。しかし、TOEICの問題集で試してみるとこのテクニックが使えているような気がするのです。真偽は何処へ。以下にご紹介する研究から考えてみたいと思います。
声と感情の関係を探る研究の中でも、BanseとSchererが行った実験は私たちに多くの洞察を与えてくれます。
まず役者に様々なシナリオを使って演技をしてもらいます。そしてそのシナリオが想定する感情と役者の演じた音声とを比較し、分析します。次に役者の音声を実験参加者に聞いてもらい、役者の感情を判定してもらいます。つまりこの研究の目的は、①音声(セリフ)と特定の感情とに結びつきはあるのか?②音声(セリフ)から感情を推定することは可能だろうか?というものです。
では、気になる実験結果を見てみましょう。
①音声(セリフ)と特定の感情とに結びつきはあるのか?
ある。例えば、「怒り」「恐怖」「幸福」では音のピッチ(高低)が上昇し、話す速度が速くなる。「悲しみ」では音のピッチ(高低)が低下し、話す速度が遅くなる。
②音声(セリフ)から感情を推定することは可能だろうか?
可能である。音声的手掛かりから感情を正しく正解出来た割合は以下の表の通り(論文から主なデータを一部抜粋)。
感情群 |
怒り |
恐怖 |
悲しみ |
幸福 |
嫌悪 |
軽蔑 |
興味 |
正答率(単位%) |
88 |
63 |
73 |
54 |
15 |
60 |
75 |
なるほど。特別な訓練を受けていない私たちでもある程度音声から感情を正しく推定出来るのですね。ノンバーバル(非言語)の力、恐るべしです。
ただし、この研究、役者がシナリオに沿って感情を演じたものであるため、日常生活での音声とは違うのではないかという批判もなされています。それについては賛否両論、色々な議論がありますが、ここでは割愛させて頂きます。
しかし!今回の題名、思い出して下さい。TOEICの裏ワザです。TOEICのリスニング音声は、まさに役者がシナリオに沿って演じたものです。ならば、ご紹介した研究結果からテクニックとして使えると思いませんか(←邪道)?
清水建二