微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

第二弾!微表情から患者さまの心理を読み取ろう×薬剤師との座談会byたんぽぽ薬局(株)

 

本日はセミナーの告知です!

 

2018年1月、微表情検知力を高めて感情接客を極めるセミナーの第二弾をたんぽぽ薬局様主催で開催させて頂きます。なんと4回も!日時を変えて行わせて頂きます。

 

今年の夏に実施された第一弾が好評であったため第二弾も実施させて頂けることになりました。第一弾の参加者の皆様、たんぽぽ薬局人事部の皆様ありがとうございますm(__)m

 

さてこのセミナーですが、主催者様の会社名から察せられますように、薬剤師さん向け、否(現役の薬剤師さんも役に立つ内容ですが、今回は)、将来の薬剤師さん向けのセミナーです。

 

将来の薬剤師さんが、なぜ微表情を?なぜ感情を意識した接客が必要なのでしょうか?

 

もちろん接客に関わる全ての職種の方々に、微表情読みとり力や感情接客は役に立つスキルだと信じておりますが、特に、今日、そして今後の薬剤師さんを取り巻く環境の変化に目を向けますと、その必要性が際立ってきます。

 

現在すでに、機械やAIが薬剤師さんの仕事を肩代わりしてくれつつあります。自動で薬剤をピックアップしてくれたり、薬歴の書き方を提案してくれるものなんかがあるそうです。

 

それでは、機械ができないことって何でしょうか?AIによって軽くなった負担をどう有効活用できるでしょうか?つまりは、人間の薬剤師にしかできないことは何でしょうか?

 

気遣い、これに尽きると思います。

 

例えば患者さんに薬を出した後に、その薬を適切に飲めているだろうか?飲みにくいということはないだろうか?体調の変化はどうだろう?副作用は大丈夫だろうか?今日はいつもと違う様子はないだろうか?

 

これらのことは、患者さんをよく観察し、よくコミュニケーションをしなければわからないことです。表面的なコミュニケーションやマニュアル対応では、患者さんはホンネを話すことに躊躇したり、遠慮してしまうでしょう。心から患者さんに寄り添おうとする気持ちがあり、注意深く患者さんを観察することで、初めて患者さんのホンネを察することができ、患者さんも心を開いてくれるのではないでしょうか。

 

薬がどんな仕組みで体に効いていくのかを学んできた、学んでいる薬剤師さんだからこそわかり得る患者さんとの適切なコミュニケーションの間合いやタイミングがあると思います(例えば、薬の飲み方のコツや提案、医師への提言など)。こうした間合いやタイミングを微表情検知力と感情アプローチを学ぶことで、見える化、あるいはさらなる高みを目指すことができるのです。

 

今回の第二弾では、動画を用いた微表情検知トレーニングやケーススタディーを用いた具体的な対応法のワーク、第一弾で学んだ感情接客の応用バージョンなどを企画しています。初めての方も、前回参加された方も楽しく、新鮮に学べる内容となっています。

 

さらに!微表情セミナーだけではありません。午後からは現役の薬剤師さんから生の声、たんぽぽ薬局で働くとは?を聞いたり、質問したりすることができます。職業・職場選択をする上で、内部の人間に話を聞けることほど重要なことはありません。

 

ぜひこの機会に微表情検知力を高め、たんぽぽ薬局さんを知りに来て下さい!各会場でお会いできることを心待ちにしております。

 

 

以下、セミナー情報です。

 

■日時・場所

2018/01/08(月) 愛知県名古屋市

2018/01/21(日) 大阪府大阪市

2018/01/27(土) 石川県金沢市

2018/01/28(日) 愛知県名古屋市

 

全日程10:00~16:30の時間帯で行われます。

 

■お申込み

詳細及びお申し込みは以下のURLよりお願いいたします。

https://job.mynavi.jp/19/pc/corpinfo/displaySeminar/index/?optNo=B-az2C&corpId=61870&_vsm=mJPs92LgbdUpRPUtyWApNaBX136-Sq9V9KXRuNi-vVnwTtPs5dkIUNdhr01M3ZaxfcYQoMhiRuyRYsWXvaLz1QxjXvTCTC0q8NlUMSUMwcHDBhb8RikBadyzGp9-ZFqLY7Cyt6EEFokEB_mn9AM67sbXKYMxjQS3hGA-TAgka3DC2CmFh3oB4zbyxyWsTDra-TVJfnuTIt7t0xfBw3dOlfJN6D4gFSGxlGzUIneB56CzQPJqMNsRX7jw1w5VqWkk

 

 

清水建二

面接テクニック・シーズン2①―認知的ウソ検知アプローチとは?

 

本日より、面接テクニック・シーズン2を始めたいと思います。

 

シーズン1ではあらゆる面接に利用可能なIIEテクニックについてご紹介しました。シーズン2では、目的別面接テクニックについてご紹介します。IIEテクニックではマクロ的な視点で面接方法を俯瞰しました。目的別面接テクニックではミクロ的な視点で面接方法を捉えます。この目的別面接テクニックは、マクロ的な面接構造の大枠の中に必要に応じて組み込めむためのユニットだと思って頂ければと思います。

 

それでは、今回ご紹介する面接テクニックです。それは、認知的ウソ検知アプローチ、です。その名の通り、ウソを検知するための面接テクニックです。Vrijらの(2015)論文を基にご説明します。

 

認知的ウソ検知アプローチは、2000年以降研究が進んでおり、既存のウソ検知法よりも長所が多く、新たなウソ検知の方法として注目されています。

 

このアプローチは次の3つのテクニックから成立しています。

 

①認知的な負担を高める

②被面接者に積極的に話してもらうようにする

③反予測質問をする

 

認知的ウソ検知アプローチと既存のウソ検知アプローチとのウソ検知率を比較すると、認知的ウソ検知アプローチの方が精度が高いことがメタ分析という統計手法の結果からわかっています。具体的には、次のような差が報告されています(なお、両者のアプローチとも特別な機器―ポリグラフ検査機器などーを用いずに、生身の人間が面接した結果となります)。

 

認知的ウソ検知アプローチ➡真実検知率:67% ウソ検知率:67% トータル:71%

既存のウソ検知アプローチ➡真実検知率:57% ウソ検知率:47% トータル:56%

 

これらの数値は何を意味しているのでしょうか?

 

真実かウソかは50%の確率で生じるように各実験状況において設定されているため、50%の検知率だと偶然ということになります。50%を超えた検知率がそのアプローチの有効性を意味します。

 

認知的ウソ検知アプローチのトータル検知率が71%であるということは、偶然レベルを超え、有効性があると言えます。一方、既存の方法は56%ですので偶然を少し超えるレベルであり、あまり有効な方法とは言えません。

 

またトータル検知率だけでなく、真実・ウソ検知率を個別に見て下さい。

 

認知的ウソ検知アプローチの方が既存の方法よりもいずれも高いですね。これは認知的ウソ検知アプローチを使えば、冤罪を減らし、ウソつきを見つけられる、ということです。

 

例えば、10人と面接し、5人が真実、5人がウソを話しているとしましょう。面接官が「10人全員ウソをついている」という判定を下すとします。そうすると、真実検知率:0/5=0%、ウソ検知率:5/5=100%となります。ウソ検知率だけ見ると、この面接官はウソを見抜く天才のように思えてしまいますが、冤罪も同じ数だけ引き起こしていることがわかります。したがいまして、真実・ウソ検知率、ともに高いことに意味があるのです。

 

こうした個別の検知率より、認知的ウソ検知アプローチの有効性がおわかり頂けたと思います。

 

それでは次回より、認知的ウソ検知アプローチの3つのテクニックについて一つ一つ説明していきたいと思います。

 

 

清水建二

参考文献

Vrij, A., Fisher, R. P., & Blank, H. (2015). A cognitive approach to lie detection: A meta-analysis. Legal and Criminological Psychology. DOI:10.1111/lcrp.12088.

 

 

日常の表情風景ー赤ちゃんとか黒田総裁とか

 

最近、目にした2つのおもしろ表情を紹介したいと思います。

 

最初の話題は赤ちゃんの表情です。

 

スタバでコーヒーを飲んでいるとき、ふと顔を上げたら、目の前にオーダーした飲み物が出て来るのを待っているお母さんとベビーカーに乗せられた3歳くらいの赤ちゃんがいました。

 

何となく赤ちゃんのことを見ていたら、赤ちゃんが自分の膝、というか身体にかけられているブランケットをはぎ取り、床に落としたのです。その様子をお母さんは見ていません。お母さんは飲み物を待っています。

 

赤ちゃん、「暑いのかな~」と最初は思っていたのですが、赤ちゃんの顔には、Duping delightが(暑ければ不快な表情のハズですが、このときの赤ちゃんの表情は笑顔だったのです、声を出さずニヤリと笑いながらブランケットを床に落とす)!ニコニコ笑い、その笑いをすぐに止めて真顔になり、それからお母さんの方を向き、床に落としたブランケットを取ってと合図。この行動と表情をお母さんが飲み物を待っている1分くらいの間に2回、やってました。お母さんにかまってもらうためにワザとブランケットを床に落としていたのだと思います。

 

その赤ちゃんのイタズラを可愛い!!と感じると同時に表情抑制がこんな小さな子にも生じる様をリアルに目にすることが出来て、私、一人スタバで感動してました。

 

次の話題は日銀総裁の黒田さんの表情。

 

最近、金融政策会見時の黒田総裁の表情分析が話題になっていますね。もちろん、私も興味津々で論文見たり、様々なニュース記事を読んだりしているのですが、こんな動画を発見しました。

 

 

特に0:36の黒田総裁の表情見てみて下さい。私のセミナーやコースの受講生さんなら、一見すると単なる笑顔、その中にある嫌悪を表情認識AIを用いなくても読み取れるハズ!ホウレイ線の形が特徴的になっているところからわかりますね。また嫌悪以外にも、特に口まわりの筋肉の動きがネガティブな気持ちを表しているのがわかりますね。

 

 

追伸:

『ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)、いよいよ明日発売ですよ!自信作です!!買って下さい、一人10冊買って下さい。私との握手券一枚あげますから。

 

ビジネスに効く 表情のつくり方 (顔は口ほどにモノを言う!)

ビジネスに効く 表情のつくり方 (顔は口ほどにモノを言う!)

 

 

 

清水建二

『顔は口ほどにモノを言う!ビジネスに効く 表情のつくり方』に込めた想い④―執筆のプロセス舞台裏

  

私は職業作家ではないので、普段の仕事の合間や休日に執筆することになるのですが、執筆中は、その本に何を書くべきか、何が書けるか、何を書きたいのか、そんな想いに常に憑りつかれております。

 

歩いているとき、電車に乗っているとき、本を読んでいるとき、講義をしているとき、寝ているときでさへも、頭の中はほとんど執筆のことに関連付けられた思考が巡っています。

 

そんな日々を過ごしていると、ふと、抽象的な想いが具体的な言葉となる瞬間があります。乗る、と表現したらよいのでしょか。スタックしていた思考が動き出し、一気に筆が走り出します(本当はキーボードですけど)。一気に5,000字くらいは筆が進みます。ビジネス書は全体で通常8~10万字くらいなので、2~3時間で全体の1/20を書き上げられることになります。

 

ところで、書店のビジネスコミュニケーションや心理学のコーナーに足を運ぶと、他者の表情や想いを読む本に比べ、自分を伝える本の方がはるかに多いことがわかります。

 

一見すると、非言語コミュニケーション分野では「伝える」知見の方が「読む」知見よりも多くのことがわかっているようですが、実は逆です。

 

科学知見の世界では、「読む」知見の方が「伝える」知見よりもはるかに多くのことがわかっています。

 

それでも書店に「伝える」系の書籍の方が多い理由は、おそらく、ビジネス経験者にとって読むスキルより伝えるスキルの方がまとめやすいということと(消極的な)読むスキルよりも(積極的な)伝えるスキルを獲得したいという一般の方々の需要が多いからだと思います。

 

「読む」に比べて「伝える」の方が、直感的に理解しやすく、効果も実感しやすいからなのでしょう。実際に研修コンテンツをセールスする担当の方々に話を聞くと、異口同音の答えが返ってきます。

 

そんな事情の中、私の強みを活かすには?と考え(私一人の「伝える」経験では、例えば20年のビジネス体験を持つ筆者の方々に経験的にはかなわないので)、既存のビジネス書では適切に書かれていない科学的な「伝える」知見と多くの方々―私自身の体験や私の受講生さん・クライアントの体験―の「伝える」経験とを合わせた書籍を執筆させて頂くことになったのです。

 

既存のビジネス書に欠けている、もしくは誤解を招いている「伝える」科学知見は何だろう?

「伝える」科学知見が日常やビジネスの「伝える」世界にどこまで応用できているだろう?

 

そんなことを考えながら執筆しました。

 

科学と経験のハイブリッド

 

この度の伝える書籍でも形に出来ました。

 

 

清水建二

紹介図書

 

ビジネスに効く 表情のつくり方 (顔は口ほどにモノを言う!)

ビジネスに効く 表情のつくり方 (顔は口ほどにモノを言う!)

 

 

面接テクニック・シーズン1-⑤IIE面接テクニックの構造DEF

 

本日はIIEテクニックの構造DEFについて紹介したいと思います。

 

Discrepancies―不整合

不整合とは、言語内及び、言語と非言語との間に生じる食い違いのことです。言語内の不整合は、被面接者の発言内容と物的証拠・記録、発言内容内での食い違いが一般的です。言語と非言語との間における不整合は、被面接者が口では「悲しい」と述べていても、表情が「悲しみ」になっていないときなどを意味します。こうした不整合も「ホットスポット」となります(「ホットスポット」については前回の記事を参照して下さい)。

 

Engagement―関わり

関わりとは、面接者が面接中に被面接者に関わるプロセスのことを意味します。被面接者が誠実に正確な情報を発言できるように面接官は面接の環境を適切に作り出す必要があります。優秀な面接官とは、自身が話すより被面接者の話をよく聞き、被面接者とラポールを形成することで心地良い環境を作り上げる能力があることが知られています。

「被面接者の話をよく聞く」というのは、質問の仕方が適切である、ということに通じます。状況に応じて、クローズド・クエッションとオープン・クエッションを使い分け、誘導尋問にならないように注意しつつ、戦略的な質問を用い記憶をたどる手助けをしたり、詳細な情報を提示できるように質問を投げかけるべきです。

面接の場を心地良い場にするには、被面接者とのラポールが大切です。ラポールの形成の仕方は様々ですが、被面接者との類似性を見つけたり、被面接者に共感を示したり、被面接者に好まれる話題を面接中に織り交ぜるのが有効です。また非言語的な側面で言うと、被面接者の姿勢やしぐさを模倣するミラーリングや被面接者の腕や手に軽く触れる行為もラポールを形成する有効な手段です。

また対話の仕方も威圧的にするべきではなく、丁寧な言葉使いを意識して、被面接者に関わるべきです。

 

Follow-up―フォローアップ

被面接者から得られた情報を物理的な証拠や記録、その他の情報と照合することがフォローアップです。面接者が被面接者に与える影響に意識を配り、被面接者のベースラインを構築し、そのベースラインからの変化をとらえ、言語・非言語の不整合を精査し、被面接者と適切に関わっていく。こうしたプロセスを経て得られた情報の精度を確かめるために、その情報に基づき物的証拠・記録を探す必要があります。情報と物的証拠・記録との整合性がとれてはじめて、面接の役割が終了します。

 

実施する面接が重要であればあるほど、A~Fの構造を意識・徹底するべきですが、面接の重要度や時間・物理的制約に応じて面接の構造を適切に変えられることが肝要です。

 

本日をもって面接テクニック・シーズン1終了です。面接構造という大枠に微表情・動作観察や質問法がどのように関わるかイメージして頂ければ幸いです。ただ、イメージ出来ることと実際に面接を行うこと、訓練することとは、結構、異なります。科学知見を土台にした実践的な訓練・研修をご希望の方は、空気研にぜひご依頼を。

 

それでは、面接テクニック・シーズン2でまたお会い致しましょう。

 

 

清水建二

参考文献

Frank, M. G., Yarbrough, J. D., & Ekman, P. (2006). Investigative interviewing and the detection of deception. In T. Williamson (Eds.), Investigative interviewing: Rights, research and regulation (pp. 229-255). Cullompton, Devon: Willan.

面接テクニック・シーズン1-④IIE面接テクニックの構造ABC

 

本日はIIEテクニックの構造ABCについて紹介したいと思います。

 

Awareness―意識

面接官は、被面接者に向ける意識と同時に自身の見た目や振る舞い、偏見について意識を向けるべきなのです。それは面接官の態度が被面接者に様々な影響を与え、正確な情報を得る妨げになる可能性があるからです。

 

被面接者に向ける意識とは、被面接者が証言している情報が不正確かも知れないということです。被面接者がウソをついている場合もあれば、現実を誤って解釈してしまったゆえに不正確な証言をしている場合もあります。それゆえに、ウソのサインに関する知識だけでなく、人間の記憶メカニズムについて知っておく必要があります。

 

面接官自身に向ける意識とは、面接官は被面接者にどんな印象を与えているか、面接官の振る舞いが被面接者にどう映るか、面接官は被面接者にどんな偏見を抱いているか、などのことです。例えば、女性の面接官ならば、女性であるという理由だけで、男性の宗教原理主義者の被面接者に敵対的な態度をとられるかも知れません。面接官が大柄な男性ならば、被面接者に握手を求めただけで被面接者に恐怖を与えるかも知れません。他にも、面接官の年齢・地位・民族などの要素に意識を向けるべきでしょう。特に、自己と文化背景が異なる被面接者を面接する場面では最も意識的になるべきです。文化によってボディーランゲージの意味が異なり得るため、被面接者の言動を誤解したり、逆に誤解を与えてしまうことがあります。そのため面接官は自分が他者に与える印象について自覚的であると同時に被面接者の背景について知っておく必要があります。また関連することとして、面接官は自身が持つ被面接者に対する偏見にも意識を向けるべきです。被面接者の髪型、肌の色、国籍、宗教などに偏見はないでしょうか。面接官は常に自身が与える影響について意識をしている必要があるのです。

 

Baseline―ベースライン

心理的・認知的負担状況がなにもないときの行動スタイルをベースラインと呼びます。面接官は、被面接者のベースラインを知る必要があります。具体的には、被面接者が、どのような姿勢でいるのか、どんなボディーランゲージやジェスチャーを使うのか、どんな声色で話すのか、どんな言葉遣いをするのかなどについてベースラインを観察するべきなのです。面接中に起こり得るベースラインからの乖離は、被面接者の心理的・認知的変化を教えてくれます。

 

Change―変化

面接官は、被面接者の言動の変化、つまりベースラインからの乖離に注意するべきです。この変化は、被面接者の証言内容に対する自信の無さやウソのヒントとなります。IIEテクニックでは、この変化を「ホットスポット」と命名しています。ホットスポット」とは、ある話題が人に何らかの感情を想起させたり、人に認知的な負担を与えている瞬間を意味します。「ホットスポット」が生じる理由は、人がウソをついている以外にも様々な理由が考えられます。したがって「ホットスポット」を検知した場合、なぜそれが生じたのかに関して注意深く解釈する必要があります。正しく解釈するために「ホットスポット」が生じた話題に関して、被面接者に深堀質問をするアプローチが一般的です。

 

次回、シーズン1最終回!!IIEテクニックの構造DEFについて紹介します。

 

 

清水建二

参考文献

Frank, M. G., Yarbrough, J. D., & Ekman, P. (2006). Investigative interviewing and the detection of deception. In T. Williamson (Eds.), Investigative interviewing: Rights, research and regulation (pp. 229-255). Cullompton, Devon: Willan.

 

 

『顔は口ほどにモノを言う!ビジネスに効く 表情のつくり方』に込めた想い③―執筆のモチベーション舞台裏

 

20168月、『微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)、同年11月、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、そして本年127日に拙著3冊目となります、『顔は口ほどにモノを言う!ビジネスに効く 表情のつくり方』(イーストプレス)を上梓させて頂きます。

 

本日は本書にかけた想い第三弾です。

 

今回は執筆の舞台裏について書かせて頂きたいと思います。

 

今年の5月にイースト・プレスの編集の木下さんという方から本書の企画を頂きました。実は同時期に別の出版社からも企画を頂いておりましたが、私は木下さんと仕事をしたいと考え、木下さんのオファーをお受けし、本書を執筆していくこととなりました。

 

書籍を書くという行為によって、書籍が完成し、世に出回り、感想を頂く、人の人生に良い影響を与えることが出来る、世界が変わる、世界を変える、こうした瞬間や経験を筆者は味わうことが出来ます。こうしたことは筆者に無上の喜びを与えてくれるのですが、それには裏返しがあります。執筆中の身体と精神は擦り切れ、魂は疲弊していきます。疲労とストレスの極致。神経衰弱。

 

そうした中で、後者のマイナスを前者のプラスで凌駕させ得る可能性を持ち、作家の一番の理解者・伴走者になり得る存在が、編集の方なのです。

 

だから編集の方は大切なのです。

 

木下さんは、私のもとへ企画を持って来られる前の段階で、しっかりと私の専門性や志向を理解されていました。企画を見せに来て頂いたときも、私の書きたいことを理解して頂き、私が納得する形で執筆をスタートさせることが出来ました。

 

執筆中も、私の書きたいことと世間が知りたいであろうこととの擦り合わせや、わかりやすい表現、正確な言い回し、など多分にアドバイスをして頂き、一つ一つ納得しながら、満足出来る仕事が出来ました。

 

書籍が形になると編集の方の努力は、筆者の名前に埋もれてしまいます。しかし今回のような素敵な書籍が完成した背景には、イースト・プレスの編集、木下衛さんの並々ならぬサポートがありましたことを、感謝の意味を込めて、ここに記させて頂きたいと思います。

 

筆者:清水建二、編集:木下衛のコラボレーション、『顔は口ほどにモノを言う!ビジネスに効く 表情のつくり方』、ぜひ一人も多くの方に読んで頂きたいと思います。

 

 

清水建二

紹介図書

 

ビジネスに効く 表情のつくり方 (顔は口ほどにモノを言う!)

ビジネスに効く 表情のつくり方 (顔は口ほどにモノを言う!)