微表情

フラッシュのように一瞬で表れては消え去る微妙な表情、微表情。このブログでは、微表情、表情、顔を始めとした非言語コミュニケーションの研究や実例から「空気を読む」を科学します、「空気」に色をつけていきます。

新入社員は、コミュニケーションが嫌なのか?不得意なのか?

 

本日はこちらのニュースをテーマにしたいと思います。

 

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簡単にまとめますと、職場の同僚と勤務時間外コミュニケーションをとりたくないと答える新入社員さんが3割を超え、この数字は過去最高だということです。

 

勤務時間外のプライベートまで会社の人と付き合いたくないと思う気持ちは理解できないわけではありません。しかし、職場を離れた席だからこそ見えてくる意外な人間性やキャラクターの発見があり、それが信頼関係の醸成や友情の土壌となるのではないでしょうか(まぁ、たまに逆もありますけどね)。

 

信頼関係の醸成がなぜ大事か?なぜ職場の人間をよりよく知る必要があるのか?ということについて例を挙げればキリがないのですが、今回は転職を例にしたいと思います。

 

ズバリ、転職理由の50%は人間関係に関わり得ることだからです。

 

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記事を読んで頂ければわかりますが、転職理由の上位3つが人間関係に関わり得ることです。

 

これって残念じゃないですか?

仕事が好き、給料も満足している、やりがいもある、

しかし!!職場の人間関係が理由で仕事を辞めている人がいるわけです。

これは、その人にとっても会社にとっても悲劇です。

 

記事の1、2、3位をお借りして➡以下で清水の感想を書かせて頂きます。

 

1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)

➡上司のことをもっと知れば、なぜその仕事の仕方をしているのか理解できたかもしれません。本当にその仕事の仕方が非効率でダメなものでも、人間関係を醸成しながら説得すれば変えることだってできたかも知れません。

 

2位:労働時間・環境が不満だった(14%)

➡労働環境が不潔・劣悪とかだったらしょうがないですが、職場雰囲気とかだったら、日ごろのコミュニケーション不足に少なからず原因があると思います。


3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)

➡これこそまさしく人間関係です。どうしても合う・合わないはあると思いますが、合わなくてもミッションを達成させるために信頼関係を作ったり、変な溝や誤解は解消しておく必要があります。マイナス要素ほど包括的に人間性を観てみないと理解が及ばないものです。不得手な人でも食事やお酒の席を持つことで、「こんな経験があるから、こういう言動になるのだな。」なんて理解が出来ることもあります。

 

新入社員は、コミュニケーションが嫌なのか?不得意なのか?

 

よく知らないから嫌なのだと思います。

人は知らないもの・人を敬遠します。

遠ざければ遠ざけるほど、遠ざけた人とのコミュニケーションは不得意になります。

溝は深まったままです。

 

以心伝心や阿吽の呼吸は、文化的背景だけでなく、お互いにとっての当たり前が成立しているからこそ成り立つコミュニケーションです。

 

こうしたコミュニケーションも成立しなくなるのでしょか?

 

この問題、しばらく考えてみようと思います。

 

 

清水建二

 

 

2017年6月24日(土)キャリタス就活フォーラムDISCOイベント振り返り

 

 本日は、先ほど終えたばかりのキャリタス就活フォーラムby DISCO様でのセミナーを振り返らせて頂こうと思います。

 

 私が登壇させて頂いた面接LABOセミナーは、10:00~11:00と11:30~12:30の二回でした。

 

 面接LABOの核となるテーマは、面接を見える化する、というものです。弊社空気を読むを科学する研究所提供のコンテンツでは、面接官の心理を科学知見から読み解き、面接官の心に刺さる回答をどう組み立てれば良いのか?その場で考えなくてはならない回答にはどう反応したらよいか?面接官の感情に合わせてどのように回答(情報)の出し入れをするべきか?ということを中心にお話しさせて頂いております。

 

 

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面接対策セミナー会場準備中の図

 

 今回のセミナーでは、10時からの回では、毎回好評の面接対策コンテンツをお送りしました。特に、オリジナル回答の作り方、ストーリーで伝える一貫性のある回答方法、面接官の眉の動きから話し方を変える方法は簡単なわりに効果的なので、ぜひみなさんの面接(準備段階・本番)で積極的に取り入れて頂きたいと思います。

 

 11時からの回は、いつもとは趣向が異なるものをお話しさせて頂きました。「本当にこの会社で大丈夫?自分が幸せでいられる会社の見極めポイント」と題しまして、すでに内定をもらっている就活生及び志望先の焦点が決まらない就活生対象に、幸せに働くこと・働くことのリアルを伝えさせて頂きました。

 内定先や志望先の客観的な企業情報は、業界誌などを見れば得ることが出来ます。企業の成長率や昇給率、キャリアアップの予測、転勤の有無、手当などある程度把握できるでしょう。しかし、職場の雰囲気や企業風土、社員さんの熱意などは、その企業の社員さんという人を介してしか得ることは難しいでしょう。なぜそうした人的情報の収集が重要かと言いますと、それはとりもなおさず、(裏)転職理由のトップ3が人間関係の悩みにあるからです。

 本セミナーでは、企業の内部で働く社員さんから企業の人的情報を得る方法についてご紹介させて頂きました。具体的には、会社のリアルを知るためにどんな質問をしたらよいか、ある質問に対する社員さんの反応のどこに気をつけるべきか、職場雰囲気のリアルはどこに現れるか、そんなことをお話しさせて頂きました。

 

 まだ内定を得られていない方もすでに内定を得ている方も、就職活動は自分を見つめるとても良い機会です。自分は何者?自分は何をしたいのか?自分は何が出来るのか?自分はどんな人と働きたいのか?焦る気持ちを押さえて、じっくりと自分と向き合って下さい。自分の価値は相手の中に見出せます。自分の価値を最も認めてくれる、高めてくれる企業はどこか、人は誰か、分野は何か?ここで頑張れなければ、この先も頑張れません。大きく飛躍するには、それだけ長い準備期間が必要なのです。

 

 次回のキャリタス就活フォーラムでのセミナーは7月13日(木)を予定しております。面接が苦手、内定もらったケドまだ就活続けたい、これから就活頑張りたい!様々な想いの就活生にお会いできることを楽しみにしております。

 

 

清水建二

「りんごとりんご」を比べれば瞬きの増加も鼻にさわるもウソのサインになる

 

瞬きの増加と鼻にさわる動きはウソのサインではない、前々回及び前回のブログで取り上げさせて頂きました。

 

鼻にさわる、という動きをより抽象的な視点で説明しますと、自分の身体の一部で他の身体の一部をさわったり、つねったり、さすったりするマニュピュレータ―という現象です。顔をさわる、額をこする、胸元をなでおろす、手をすり合わせる、全てマニュピュレータ―です。

 

瞬きの増加は主に緊張時に、マニュピュレータ―は緊張を含めた感情のブレを原因に起こることが知られています。

 

ウソがばれないだろうかと緊張していれば、これらの動きは生じますし、冤罪をかけられてしまうのではと緊張すれば、同様にこれらの動きは生じます。

 

つまり、瞬きの増加とマニュピュレータ―はウソのサインではないのです。しかし、工夫次第でウソのサインとして使えることがあります。

 

例えば、ウソをついているのでは?と疑われている3つの疑惑について容疑者が供述しているとします。どの疑惑について話しているときも同じくらい緊張しているとします。こうした中で、ある話題、例えば2番目の話題を話しているときに、他の話題を話しているときに比べ、瞬きやマニュピュレータ―増加が観られれば、ウソのサインになり得ます。

 

同じ緊張状態なのになぜ2番目の話題だけ緊張度が高まったのだろうか?

 

と考えるわけです。

 

もちろんこの段階で供述をウソと断定することはなく、2番目の話題について深掘りする段階へとインタビューは続きます。

 

上手く個人内比較を設定できれば、ウソのサインとして認められていない動きもウソのサインとなり得るのです。

 

何でもそうですが、生きる上で大切なことは、

 

特別を探す必要なない。

工夫次第で普通が特別になる。

 

ものだと思っています。

 

 

清水建二

りんごとりんご

 

前回の続きです。

なぜ不倫会見時の映像と普段の会見映像を比べた結論は問題なのか?です。

 

それは同じものを比べていないからです。

 

夫や妻に不倫を疑われ、それを否定している情景を想像してみて下さい。

緊張しませんか?

本当に不倫をしていても、本当は不倫をしていなくても、緊張しませんか?

 

人は緊張すると、瞬きをたくさんします。また、顔や鼻、その他自分の身体に触れる・さわる・さするなどのマニュピュレータ―という動きをします。

 

人前で話すときを想像して下さい。

緊張しませんか?

 

答えが見えてきました。クリントン氏の話に戻しましょう。

そもそも不倫会見している時点で緊張してしまうため、そのサインが緊張のサインなのか、ウソのサインなのかわからないのです。

 

もし正確にウソのサインを特定しようとするならば、同じものを比べなくてはいけません。クリントン氏の例で言えば、理想的には、本当に不倫をしていないことがわかっている他の不倫会見映像と本当に不倫をしたことがわかっている不倫会見映像をとを比べる。まぁ、基本的に不可能でしょう。それならば、せめて、ウソをついているのではないかと疑われているものの本当に真実を述べている会見映像と今回の不倫会見映像とを比べる。

 

つまり、同程度に緊張している状態の二つのものを比較しないと差を比べたことにはならないのです。これをApple to Appleと言います。同じもののようで違うものを比較していることをApple to Orangeと言います。

 

比較対象が違うものを比較しても何の結論も下すことは出来ません。

 

なお、前回の話を今一度繰り返しますが、比較対象を統制して行われた科学実験では、瞬きの増加やマニュピュレータ―はウソのサインとしては認められていません。

 

同じものを比較する。常に意識したい視点です。

 

 

清水建二

りんごとオレンジ

 

「ウソのサインである」とは、正直者とウソつきとを分けることが出来るサインのことです。こうしたサインの特定を求めて100年以上にわたり科学研究が重ねられています。

 

良く知られる有名なウソのサインとして「瞬きが増加する」「鼻にさわる」という動きがあります。結論から言いますと、科学的にはこれらの動きはウソのサインとはいえない、と立証されています。公平を期して正確に言えば、これらのサインをウソのサインだと述べている論文は少ないです。

 

あらゆる研究の検証結果から、大方のウソ研究者の見方としては、「瞬きが増加する」「鼻にさわる」という動きの観察される頻度は、ウソを疑われている正直者にもウソつきにも差が観られないため、これらの動きから両者を区別することはできない、というものです。

 

しかし、これらのサインは何らかのきっかけで私たちの脳裏にウソのサインとして固定化してしまっています。今回はある「事件」を通じてこのサインについて、比較の重要性について考えたいと思います。

 

かつてクリントン元大統領に不倫疑惑がかけられました。この出来事は、当時、大変センセーショナルなスキャンダルになり多くのメディアに取り上げられ、会見映像を開いたクリントン氏の表情やしぐさはウソのサインを検証する科学論文の分析材料にまでなりました。

 

ことの結末としては、クリントン氏は不倫を認めています。

 

当時から現在にかけ、この不倫否定会見のクリントン氏の表情やしぐさが様々な専門家に分析されています。その方法は、不倫を否定するクリントン氏の会見映像を観て、非言語行動、特に瞬きの増加や鼻をさわる回数を数えます。次に普段のなんでもないときのクリントン氏の会見映像を観て、同じく瞬きの増加や鼻をさわる回数を数えます。そしてそれらの回数を比べるという方法です。

 

検証の結果、不倫会見時のクリントン氏の瞬きの量と鼻をさわる回数が、普通の会見時と比べて、はるかに多いことがわかりました。そしてこの検証をもって、瞬きの増加や鼻をさわる回数の増加をウソのサインとしています。

 

はっきりと申し上げますが…

 

これは全くナンセンスな方法です。この検証方法では、そうしたサインをウソのサインとして全くもって認めることなど出来ません。こうした手法を取っているからいつまで経っても非言語科学が「あやしい」ものだというレッテルがつきまとうような気がしています。

 

なぜこの手法では全くもってダメなのでしょうか?

 

答えは…次回のブログで。

 

 

清水建二

参考文献

Hirsch A.R., Wolf C.J. (2001). Practical methods for detecting mendacity: A case study. Journal of the American Academy of Psychiatry and the Law, 29, 438–444.

DVD購入者特典④―模範解答

 

本日は前回の解答です。以下が模範解答になります。分析対象動画はvol5-q13です。

 

 

問題1:00:11秒のときの表情筋の動きを全て記述して下さい。またこの表情はどんな感情を示していますか?

 

 vol5-q13の00:11秒時のとき画像を参照しながら、分析結果を記述する。なお以下の記述はすべて分析対象者の中立表情と比べたものであることを留意されたい。

 

 「眉が引き上げられる」+「上まぶたが引き上げられる」+「下まぶたに力が入れられる」+「口角が水平に引かれる」という動きが観察されることから、対象人物は驚きと恐怖を同時に抱いていると考えられる。ただし、恐怖に関連する表情筋の数と強度により、驚きより恐怖の方を強く抱いていると考えられる※1。

 「眉が引き上げられる」という単独の動きは、驚きあるいは恐怖の意味を持つ。どちらの意味かはこの単独の動きのみからは決めることが出来ない。より抽象的な意味次元で解釈すると情報検索と言える。「上まぶたが引き上げられる」単独の動きは、怒りや驚き、そして恐怖といった複合的な意味を持つが、「下まぶたに力が入れられる」動きが伴っていることから、恐怖と解釈できる。「口角が水平に引かれる」単独の動きは、恐怖を意味する。

 

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※本画像の権利は、株式会社空気を読むを科学する研究所に帰属します。無断転載を禁じます。

 

※1 複合的な意味を持つ表情筋の動きの中で一番強い強度を持つ表情筋の動きを代表して、特定の感情に解釈する方法は科学論文で観られる手法である。

 

問題2:この表情はアメリカ人と比べると日本人の正答率は低い傾向にあります。その考えられる理由とともに日本人にとってこの表情は他のどの表情と混同されてしまうのか答えて下さい。

 

 日本人はアメリカ人と比べて、恐怖表情を驚き表情と取り違える傾向にある。その理由は、日本がアメリカよりも犯罪が少なく安全な国であることから、恐怖を抱く状況が少なく、また他者の恐怖表情をシグナルに行動することから得られる利点も少ないことから、恐怖表情の認識精度が低下したのではないかと考えられる。

 

 

 以上が模範解答となります。問題2の日本人の誤読に関しては定説があるわけではないため、他にも理由は考えられると思います。なお微表情検知DVD動画版では、本動画の正解は恐怖に代表して設定しています。表情認識率の違いについて関心がある方は、専門書ですが、木村あやの『研究用日本人表情刺激の作成とその臨床的適用』風間書房(2013)が参考になります。

 おまけ話ですが、この書籍には私的な思い入れがあります。私が月収10万円で塾講師をしていたとき、なけなしのお金で購入した書籍でした。よく行く書店のよく行く心理学コーナーで本書を見つけたとき、もの凄く興奮したことを覚えています。食費もままならないのに即買いした書籍でした。

 

 

清水建二

参考図書

研究用日本人表情刺激の作成とその臨床的適用

研究用日本人表情刺激の作成とその臨床的適用

 

 

DVD購入者特典④―日本人が混同しやすい表情

 

本日はDVD購入者特典第四弾です。今回取り上げさせて頂く分析画像は、微表情検知トレーニングDVD動画版のVol5からです。vol5-q13の動画をよく観察してみて下さい。

 

問題1:00:11秒のときの表情筋の動きを全て記述して下さい。またこの表情はどんな感情を示していますか?

問題2:この表情はアメリカ人と比べると日本人の正答率は低い傾向にあります。その考えられる理由とともに日本人にとってこの表情は他のどの表情と混同されてしまうのか答えて下さい(私の書籍を読まれた方、あるいはコース受講生の方はわかるハズ!)。

 

参考までに00:11の静止画像を以下に示します。500字以上1000字以内でまとめてみて下さい。

 

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※本画像の権利は、株式会社空気を読むを科学する研究所に帰属します。無断転載を禁じます。

 

動きが速すぎてぼやけていますね。

動画で確認してみて下さい。

 

模範解答は次回のブログで公開します。

 

 

清水建二